Hirofumi Yoshida - 吉田裕史

吉田裕史:指揮者
東京音楽大学指揮科及び同研究科修了。ドイツ・イタリアで研鑽を積み、2007年ローマ歌劇場カラカラ浴場野外公演を指揮、2010年1月よりマントヴァ歌劇場音楽監督に就任。
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2009年6月26日 01:52
La vita è bella! その3
「一身の独立あって、国家の独立あり」
明治維新の頃のある日本人の言葉です。
この "独立" という言葉が単なる地理的、領土的な意味を示しているのではないことは自明の理です。
さらに踏み込んで、「国家の(真の)独立あって、世界の平和あり」とも言えるのではないでしょうか。
翻ってみて、私たち音楽家も、芸術を突き詰めるためには、真の意味で独立していなければなりません。
感動を生み出すためには、常にクオリティーを追求していかなければなりませんから、すべてにおいて超越し、芸術的成果を求め続けるという姿勢を貫く必要があります。
そのためにも、国家、民族、宗教 etc... を超えて "独立" していなければ。
間もなく、2009年も後半に入りますね。
Hirofumi Yoshida
2009年6月10日 07:00
「愛の妙薬」
ドニゼッティが作曲したこのオペラ、イタリア語の原題は "L'elisir d'amore" (レリズィール ダモーレ、太字のルとレは舌を巻いて発音)です。
さて、ここで質問が生じます。
"amore"はとても頻繁に使われる言葉※なのですぐに"愛"と理解できますが、いったいelisirとはどういう意味なのでしょうか?(L'は英語のThe にあたります。)
※(イタリア、とくに南イタリアでは、普通に、自然に、日常生活の中で用いられます。親しい間柄なら、男同士でも用いるので、初めて、"アモーレ!"と呼びかけられた時は、誰を呼んでいるのかまったく分かりませんでした(笑))
辞書を引いてみると:
elisir/elisire 〚薬〛エリキシル剤;芳香性のある植物をアルコールに溶かしたリキュール
とあります。
ここで新たな疑問が生じます。
エリキシル剤とは?
調べてみると:
エリキシル剤 elixirs
甘味と芳香のあるエタノール(エチルアルコール)を含む内服用液剤で、いわゆる味をよくして飲みやすくした水薬(みずぐすり)である。医薬品または生薬の浸出液にエタノール、精製水、芳香剤、甘味料などを加えて溶かし、濾過(ろか)して澄明にしたものである。エタノールの含量は4~40%と幅が広く、単に甘味と芳香をつけるために入れてある場合(芳香エリキシル)と、主薬を溶かすために入れてある場合がある。芳香エリキシルは内服用液剤の賦形剤として矯味矯臭の目的で用いられる。また、そのままの水薬では飲みにくい医薬品を含むものとしては、ジゴキシンエリキシル、デキサメタゾンエリキシル、フェノバルビタールエリキシルなどがある。
なるほど。。。
そこで、どなたかが、できるだけ分かりやすく、かつニュアンスが的確に伝わるように「愛の"妙薬"」と訳してくれたわけです。("愛のエリキシル剤"では、そもそも、意味がわかりませんし、このオペラの魅力がまったく伝わってきません。)このオペラが日本で演奏されるようになって初期の頃には「愛の媚薬」や「愛の惚れ薬」という訳もあったようです。
それにしても、日本に西洋文化が入ってきたときに、あらゆる分野の外国語が日本語に訳されたわけですが、先人達は本当に偉大です! きっと考えに考え、悩みに悩みぬいたことでしょう。"Music" を "音楽" と訳してくれて本当に良かったと思います。"音学" ではなくて。
そういえば、昔々、初めて"La Traviata"(椿姫)の副指揮をやった時も、"椿の姫って、いったいどういう意味なんだろう? オペラの中に椿姫というお姫様は出てこないのに。。"などと思ったものでした(笑)。
その疑問が解けるようになるまでには、少しばかり時間が必要だったことを覚えています。。
Hirofumi Yoshida


