Hirofumi Yoshida - 吉田裕史

吉田裕史

吉田裕史:指揮者

東京音楽大学指揮科及び同研究科修了。ドイツ・イタリアで研鑽を積み、2007年ローマ歌劇場カラカラ浴場野外公演を指揮、2010年1月よりマントヴァ歌劇場音楽監督に就任。

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2010年7月26日 09:13

氷のような姫君


Martina Serafin.jpg(写真)ある日のリハーサルで、トゥーランドット姫役のMartina Serafinと3幕の最後の部分について打ち合わせをしているところ。

 

この日の会話:

 

私: この最後の "私は彼の名前を知っているわ、、その名は Amore(愛)" の部分だけれど、今のテンポで良かった?

 

マルティナ: ばっちりだったわ。私はこの部分を遅くし過ぎずに、音楽の流れの中で自然に声を運びたいの。 今のように停滞しないほうが好ましいわ。

 

私: そうだよね。むしろ、その次の小節のオーケストラのグランデ・クレッシェンド(イタリアでは、度々この言葉を用いる)に声を乗せて、たっぷり歌いきった方が素敵だ。 ところで、来年3月に、フィレンツェ歌劇場日本公演で「トスカ」を歌うんだって?

 

マ: それが、とても残念なことに行けなくなってしまったの。 実は、、私、今、妊娠3カ月なのよ。

 

私: えっ!??、、、(驚)

 

マ: でも、まったく心配しないで。 このプロダクション(トゥーランドット)までは、完璧にこなしてみせるわ。 この役は、今の私に最も相応しいとさえ思っているの。 舞台上での激しい動きはないけれど、すべてのドラマを歌で、声で、音楽で表現してみせる、、まったく問題ないわ。 あー、それにしても日本に行けないことは、本当に残念だわ。 マエストロの国は美しくて、聴衆の質も高くて、すべてがきちんとしていて、、(以下、日本賛歌が続く)

 

マルティナ・セラフィン、なんというプロフェッショナル! 舞台上の彼女にはいっさいのエクスキューズも甘えもありません。

 

オペラのリハーサル現場は、、毎日、とても劇的です。