《Le Villi》を語る Vol.7

《Le Villi》を語る Vol.7

《Le Villi》を語る Vol.7
― 踊れ、喜べ、忘れるな ― 合唱とヴァルスに託された村のドラマ ―

マエストロ(私):
この場面、賑やかなコーラスが「Gira! Salta!(回れ!跳ねろ!)」と高らかに叫ぶところ、実に鮮やかですね。

教授:
祝祭のエネルギーに満ちています。村人たちはロベルトの旅立ちと将来を祝って踊り明かす。
ただ、それだけではない深みも感じます。

マエストロ:
プッチーニはここで「Il ballo è rivale dell'amore(舞踏は恋のライバル)」という非常に示唆的な詩句を使っています。
これはどう解釈されますか?

教授:
一見すると遊びの表現ですが、裏には「踊り=熱狂」が「愛=誠実さ」を覆い隠すという逆説が潜んでいます。
一時の喜びが、真実の想いを見えなくさせる。

マエストロ:
音楽もまた、人間のように「freme(震える)」「delira(狂う)」と表現されています。
音楽自体が登場人物のように動き出すんです。

教授:
それはプッチーニの劇音楽的才能の表れですね。
合唱が舞台の"心の声"になり、集団の感情が音楽に流れ込む。

マエストロ:
しかもこの場面のヴァルスは、単なる祝祭というより、どこか"忘れさせる力"を持っていますね。

教授:
まさにそう。踊ることで、登場人物たちは現実の不安や緊張を一時的に忘れようとする。
それゆえに、次に訪れる"沈黙"や"別れ"がより際立つ構造になっているんです。

まとめ:「踊り」は祝祭か、それとも逃避か?

「Gira! Salta!」の高揚に満ちた叫びの中で、音楽も言葉も一体となって"何か"を覆い隠していく。
プッチーニは合唱という集団の声に、忘却と歓喜、そして次に訪れる孤独を同時に織り込んでいる。

それはまるで、踊りの余韻が"裏切りの前兆"をやさしく包み隠しているかのようなのです。

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