マノン・レスコー1 冒頭のテーマは何を描写?

マノン・レスコー1 冒頭のテーマは何を描写?

曲をどのように開始するか? というのは昔から作曲家が最もこだわった事の一つです。

プッチーニの最初の成功作である「マノン・レスコー」は、冒頭に与えられた発想記号 Allegro brillante(♩=132)が既に示唆しているように、とても活き活きとした雰囲気で始まります。

演奏家である私にとって、曲中に現れるそれぞれのテーマが何を描写しているのかと考察する事は、本当に楽しくワクワクする時間です。(閃くまでかなり時間がかかる事も多々ありますが...)
例えば、「ラ・ボエーム」の冒頭のテーマは青春を表現していますし、「トスカ」の冒頭は強大で邪悪な権力を示唆するスカルピアのテーマで始まります。

このオペラの冒頭は次のように始まります。

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私がこの冒頭のテーマ(音楽)から感じるのは、このオペラの最初のシーンそのものの雰囲気です。

・場所はフランスのアミアンという街
・ある祝祭的な一日
・街の真ん中にある広場は群衆でごった返している
・大勢の若者や大学生たちが陽気に遊び、青春を謳歌している

冒頭のテーマは、そんな情景を見事に描写しています。

「ヴェルディは全ての事象を音楽で表現した。鳥の鳴き声ですら。夜中にフクロウが鳴く様さえも!」と言われますが、プッチーニはその技法を踏襲し他だけではなく、更に発展させたと言えるでしょう。

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